2023年4月開始の出産・子育て応援交付金などを紹介

想像力豊かな子ども達

三鷹のファイナンシャル・プランナー(FP)の伊達です。

人生の三大資金に「教育資金」「住宅資金」「老後資金」があります。これらは特に多くのお金がかかるので事前にしっかり準備する必要があります。三大資金に教育資金が含まれているように、子育てにはお金がかかるのが実情です。

経済的な理由だけではありませんが、日本の出生率が年々下がっていることから、国も出産・子育て支援を充実させてきています。2023年4月から「こども家庭庁」が発足するとともに、新たな出産・子育て支援が始まりました。今回はその内容を紹介します。

(注)記事の内容は2023年4月27日時点のものです。

出産・子育て支援の制度の変更点

出産・子育て支援は自治体によってさまざま行われていますが、国の制度に関する変更点は主に次の3つです。

  • 出産育児一時金の増額
  • 出産・子育て応援交付金の新設
  • 妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援の新設

出産育児一時金の増額

健康保険や国民健康保険の被保険者が出産したときに「出産育児一時金」が支給されますが、2023年4月より支給額が増額されました。

出産育児一時金

出産育児一時金:50万円(従来は42万円)

産科医療補償制度に未加入の医療機関等での出産や、妊娠週数が22週に達していない場合は、支給額は48.8万円(従来は40.8万円)となります。

健康保険の被扶養者(家族)が出産したときは「家族出産育児一時金」が支給され、支給額は出産育児一時金と同額です。

加入する健康保険組合によっては、出産育児一時金に加えて、独自の付加給付が支給される場合があります(付加給付がないケースもあります)。

出産・子育て応援交付金

下記の伴走型相談支援とセットで実施される制度で、出産育児関連用品の購入費の助成や子育て支援サービスの利用負担軽減を目的として、合計10万円相当の経済的支援を行います。

出産・子育て応援交付金

  • 妊娠時:ギフト5万円分
  • 出産後:ギフト5万円分

支給方法は専用サイトでの購入やサービスの利用、クーポン券での支給などとなっていますが、具体的な実施内容はお住まいの市区町村にご確認ください。

なお、出産・子育て応援交付金については移行措置があり、2022年4月以降に出産した人も対象になります(過去1年間遡って適用されます)

妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援

妊娠届出時より妊婦や特に0歳から2歳の子育て家庭に寄り添って、身近に相談に応じたり、継続的に情報発信をしたりする仕組みで、市区町村が実施します。具体的な実施内容はお住まいの市区町村にご確認ください。

東京都出産・子育て応援事業

国の「出産・子育て応援交付金」に加えて、東京都が実施している「東京都出産応援事業」があります。

東京都の市区町村では経済的支援が次のようになり、市区町村によっては独自の経済的支援がある場合があります。

東京都のケース

  • 妊娠時:ギフト5万円分
  • 出生後:ギフト10万円分(東京都独自5万円分が増額)

まとめ

今回の妊娠・子育て支援は、これから妊娠・出産を迎える家庭にはうれしい制度でしょう。

東京都の病院で出産すると、出産費用が従来の出産育児一時金でおさまるケースは少なく、今回の8万円の増額でも結果的に自己負担が発生するケースが多いと考えられます。事前に出産費用のお金は準備しておきましょう。

子育て家庭がかかえている経済的な不安は、出産や幼少期よりも小学校、中学校、高等学校、大学と徐々に増えていく学費の負担です。

高校以降は義務教育ではなく、学習塾や習い事は任意というものの、全く利用しないわけにもいかず、結果的に教育費の負担に不安を感じている家庭は少なくありません。この点にも支援の拡大を期待したいところですが、今のところはまだ具体策が見えていません。

教育費の不安に対しては、まずライフプランを作成し、将来かかる教育費を見積もりましょう。その上で、各種制度を活用しながら、我が家は教育にいくらまでお金を出すかをぜひ検討していただきたいと思います。

参考

厚生労働省 出産育児一時金の支給額・支払方法について
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shussan/index.html)

厚生労働省 妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施(出産・子育て応援交付金)
(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29323.html)

東京都福祉保健局 東京都出産・子育て応援事業 ~赤ちゃんファーストを継続します~
(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/tokyo_shussankosodateouen.html)