新型コロナウイルス感染症、お金に関する公的な支援には何がある?

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三鷹のファイナンシャル・プランナー(FP)の伊達です。

新型コロナウイルス感染症の広がりにより、緊急事態宣言が出されるようになり、個人の家計や会社の経営などの経済面にも影響が大きくなってきています。今後の見通しが立てにくい状況ですので、お金の面で不安を感じる人も増えているのではないでしょうか。

国などによる支援がニュースなどで報じられていますが、報道される内容も日々変化しています。また、実施中のものと検討中のものが混在しており、理解しにくい状況かもしれません。今回は新型コロナウイルス感染症に関する国などの支援について、主に個人に関係する項目について整理しましたので、参考にしてください。

それぞれの制度を受けるには条件があります。下記の記載内容は概要ですので、詳細は各省庁のホームページで確認、コールセンターや窓口にお問い合わせください。

(注)2020年4月29日時点、2020年5月25日時点の情報をもとに加筆修正しました。

参考記事:新型コロナウイルス感染症、支払いなどに困ったときに利用できる制度

緊急に生活資金が必要な場合

緊急小口資金

特例措置により、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、休業等により収入の減少がある場合にも、緊急かつ一時的な生計維持のために必要な資金を借りることができます。無利子で10万円~20万円の資金を借りることができます。1年後に返済が始まりますが、その時の所得状況によっては免除される場合があります。

4月30日より、全国の労働金庫でも、緊急小口資金の特例貸付の申請ができるようになりました。

総合支援資金

特例措置により、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、収入の減少や失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている方も対象です。自立相談支援事業等による継続的な支援を受けることが要件ですが、生活資金を借りることが出来ます。月15万円~20万円の資金を、無利子で3か月間借りることが出来ます。1年後に返済が始まりますが、その時の所得状況によっては免除される場合があります。

窓口は市区町村の社会福祉協議会です。

参考情報

厚生労働省「一時的な資金の緊急貸付に関するご案内」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000621220.pdf)

厚生労働省「労働金庫において個人向け緊急小口資金の特例貸付に係る貸付申請の受付を開始します」
(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11058.html)

厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsu-fukushi-shikin1/index.html)

厚生労働省「個人向け緊急小口資金等の特例」
(https://www.mhlw.go.jp/content/12003000/000606493.pdf)

家賃の支払いが難しい場合

住居確保給付金

令和2年4月20日より対象が拡大されました。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、休業等に伴う収入減少により、離職や廃業と同程度の状況にあり、住居を失うおそれがある方も対象です。一定の要件(収入、資産、就職活動等)を満たす場合に、原則として3か月、最長9か月、家賃を大家に振り込む制度です。要件や給付金の金額については地域で異なります。

窓口は全国の生活困窮者自立相談支援機関(自治体が直営または委託で運営している相談窓口)です。

参考情報

厚生労働省「住居確保給付金のご案内(令和2年4月20日から対象者が拡がりました!)」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000623082.pdf)

厚生労働省「住居確保給付金について」
(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0914_shiryou03_1.pdf)

東京都福祉保健局「生活困窮者自立支援制度について 相談窓口一覧」
(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/seikatsu/seikatsukonnkyuu/jiritsu.html)

社会保険料や税金の納付が難しい場合

国民年金の免除

新型コロナウイルス感染症の影響により、失業や廃業などで一時的に国民年金保険寮の納付することが困難な場合については、一定の要件に該当する方は、免除が適用できる場合があります。

窓口は年金事務所です。

国民健康保険の減免

新型コロナウイルス感染症の影響により、一定程度収入が下がった場合に、保険料等を減免できる場合があります。

窓口はお住まいの市町村です。

納税の猶予

新型コロナウイルス感染症の影響により、国の税金を納付することが出来ない場合については、一定の要件に該当する方は、税務署に申告することで1年間猶予されます。国税には所得税、相続税、贈与税、法人税、消費税などがあります。また、住民税にも1年間の猶予の制度があります。各自治体に確認しましょう。

特定の要件を満たす「特例猶予」が認められた場合は、猶予期間中の延滞税が全額免除となります。また、申請にあたり担保の提供は不要となります。

参考情報

日本年金機構「【国民年金被保険者の方へ】新型コロナウイルスの感染症の影響により国民年金保険料の納付が困難となった場合の免除制度の活用について」
(https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2020/202003/20200312.html)

国税庁「新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ」
(https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm)

国税庁「納税が困難な方には猶予制度があります」
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kansensho/pdf/0020003-044_02.pdf)

新型コロナウイルス感染症などで仕事を休む場合

傷病手当金

健康保険の被保険者が、病気やケガの療養のために仕事を休んだ場合、休業4日目以降の所得保障をする制度です。標準報酬月額(税金や社会保険料を引く前の給料の額に相当)の3分の2にあたる金額が支給されます。

本人が料用のために仕事ができない場合のため、会社が休業した場合は対象外。休業の場合は、会社側が休業期間中の休業手当を支払わなければならないとされている。

国民健康保険には傷病手当金の制度はありません。しかし、新型コロナウイルス感染症に感染した場合、発熱等の症状があり感染が疑われる場合について、一定の要件を満たすと傷病手当金が支給されます。給与収入がある方を前提にしていると考えられます。

窓口は勤務先の健康保険組合、国民健康保険組合、市町村です。

参考情報

厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給について」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000604969.pdf)

個人事業主・フリーランスが対象の制度

小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方)

小学校等が臨時休業した場合に、子どもの世話を行うため契約した仕事ができなくなった場合に支給されます。業務委託契約を締結している業務で、子どもの世話を行うために業務が出来なかった日について、1日当たり4,100円が支給されます。対象期間は2月27日から3月31日でしたが、6月30日まで延長されています。

申請書提出先は、学校等休業助成金・支援金受付センターです。

参考情報

厚生労働省「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)」
(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10231.html)

追加で実施される支援制度

令和2年4月20日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症対策緊急経済対策」で、追加された支援制度です。

特別定額給付金

新型コロナウイルス感染症での感染拡大防止に留意しつつ、簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計への支援を行うため実施される給付金です。

給付対象者は基準日(令和2年4月27日)に住民基本台帳に記載されている人です。給付金は給付対象者1人につき10万円の定額です。

受給権者は世帯主となっているため、給付金の申請手続きや給付金の振り込み口座については、原則として世帯主が世帯分をまとめて行うことになります。申請書は市区町村から郵送されます。申請の方法は、「申請書に記載して郵送」と「マイナポータルからオンラインで申請(マイナンバーカード所持者のみ)」の2通りです。詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。

特別定額給付金は非課税対象であり、所得税・個人住民税への影響はありません。

子育て世帯への臨時特別給付金

子育て世帯への支援として、児童手当への上乗せ支給が実施されます。

対象は、令和2年4月分の児童手当(本則給付)の対象となる児童(0歳~中学生)です。3月まで中学生だった児童(新高校1年生)も含みます。児童1人につき1万円が、一時金として給付されます。給付にあたり、特別な手続きは不要です。ただし、臨時特別給付金を希望しない場合のみ、申出書の返信をすることになります。

この臨時特別給付金は「本則給付」が対象となっているため、特例給付(児童1人につき5,000円)の場合は対象外となります。

この給付金は非課税対象であり、所得税・個人住民税への影響はありません。

持続化給付金

感染症拡大により大きな影響を受ける事業者に対して、事業全般に広く使える給付金です。

新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している場合、法人は最大200万円、個人事業主は最大100万円の給付金が支給されます。

前年の総売上から、前年同月比50%以上減少した月の売上の12倍を引き、その金額を売上減少分とします。その売上減少分(上限は法人で200万円、個人事業主で100万円)が支給されます。なお、前年同月比で50%以上減少した月がない場合は給付金の対象となりません。

持続化給付金は課税対象であり、事業収入として計上する必要があります。もし、持続化給付金を受け取ったことで利益が出た(増えた)場合は、利益に応じた税金を支払う必要があります。

参考情報

総務省「特別定額給付金ポータルサイト」
(https://kyufukin.soumu.go.jp/ja-JP/index.html)

内閣府「子育て世帯への臨時特別給付金支給の趣旨・概要について(PDF)」
(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/pdf/rinji/about.pdf)

経済産業省「持続化給付金」
(https://www.meti.go.jp/covid-19/jizokuka-kyufukin.html)

各省庁の新型コロナウイルス感染症に関する情報提供

厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」

厚生労働省「コロナ支援策をまとめた働く方向けのリーフレット(PDF)」

経済産業省「新型コロナウイルス感染症関連」

内閣府「経済対策等」

内閣府「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策~国民の命と生活を守り抜き、経済再生へ~(令和2年4月7日)(PDF)」

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