新型コロナウイルス感染症、支払いなどに困ったときに利用できる制度
三鷹のファイナンシャル・プランナー(FP)の伊達です。
新型コロナウイルス感染症に影響受けた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の広がりにより、個人の家計にもさまざまな影響が出始めています。外出自粛とはいえ生きていくためにはお金が必要です。まず支出を抑えることが必要ですが節約には限界があり、支払いに困るケースがあるかもしれません。
新型コロナウイルス感染症への対応として、水道光熱費や保険料の支払の猶予や、住宅ローンの返済方法の見直しが適用されるケースがあります。今回は各種料金の猶予制度などについて紹介します。
なお、支払猶予や期日の延長は免除ではありません。期日が過ぎると猶予された金額を支払う必要があるので注意が必要です。また、口座振替やカード払いの場合は、手続きに時間を要することがありますので早めに相談しましょう。
それぞれの制度は会社により条件等が異なります。下記の記載内容は概要ですので、詳細は各社のホームページで確認、コールセンターや窓口にお問い合わせください。
(注)2020年4月29日時点の情報をもとに加筆修正しました。
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電気・ガス・水道料金の支払い
電気料金
電気料金について、支払いが困難な事情がある人については、料金の支払期日の猶予が適用されます。これは経済産業省から、小売電気事業者に対する要請に対応したものです。
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、「緊急小口資金」または「総合支援資金」の貸付を受けた人で、一時的に電気料金の支払いが困難な人が対象です。事業者に申し出ることにより、支払期日を1ヶ月延長し、また状況に応じて柔軟な対応が実施されます。令和2年4月24日に、さらに1ヶ月延長し合計2ヶ月の繰り延べが認められるようになりました。
ガス料金
ガス料金についても、電気料金と同様に支払期日の猶予が適用されます。
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、「緊急小口資金」または「総合支援資金」の貸付を受けた人で、一時的にガス料金の支払いが困難な人が対象です。事業者に申し出ることにより、支払期日を1ヶ月延長し、状況に応じて柔軟な対応が実施されます。令和2年4月24日に、さらに1ヶ月延長し合計2ヶ月の繰り延べが認められるようになりました。
水道料金
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、一時的に水道料金等の支払いが困難な事情がある人について、事業者に申し出ることにより支払いの猶予があります。東京都の場合、最長で4ヶ月支払いが猶予され、猶予期間後も支払いについての相談が受けられます。
参考情報
経済産業省「新型コロナウイルス感染症の影響を受け、電気料金の支払いなど生活に不安を感じておられる皆様へ」
(https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200319008/20200319008.html)
経済産業省「新型コロナウイルス感染症の影響を受け、ガス料金の支払いなど生活に不安を感じておられる皆様へ」
(https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200319007/20200319007.html)
東京都水道局「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う水道料金・下水道料金のお支払い猶予について」
(http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/press/h31/press200319-02.html)
通信料等の支払い
携帯電話料金
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、携帯電話料金等の支払いが困難な事情がある人については、事業者に申し出ることにより支払期日が延長されます。なお、大手3社のNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの各社については、支払期日の延長は2020年5月末までとなっています。
NHK受信料の支払い
NHKは、新型コロナウイルス感染症の拡大により影響を受けた方からの、受信料の支払いに関する専用の相談窓口を新たに開設しています。
保険料の支払い・手続き
保険料の支払い猶予
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、保険料の支払いが一時的に困難な場合、保険契約者が申し出ることで、保険料の支払期日が延長されます。保険会社によりますが、最長6ヶ月、2020年9月30日まで延長する保険会社もあります。
保険金・給付金の手続き
新型コロナウイルスに感染し、治療を目的として入院した場合について、入院給付金や通院給付金の対象になる場合があります。
医師の指示により臨時施設や自宅療養になった場合にも、入院給付金の対象となる場合があります。加入している保険会社ごとに詳細を定めていますので確認してください。
契約者貸付制度の特別対応
解約返戻金のあるタイプの保険については、解約返戻金を元手にして保険会社からお金を借りることができます。
終身保険や個人年金保険、学資保険などを契約している場合は、契約者貸付制度を利用できる場合があります。しかし、一般的な定期保険や、無解約返戻金型医療保険など、いわゆる掛け捨てタイプの保険では利用することができません。
契約者貸付制度を利用して保険会社からお金を借りる場合、利息がかかることが一般的です。しかし、新型コロナウイルス感染症の特別対応として、期間限定で利息が免除されたり、低い金利が適用される場合があります。
借りたお金については、保険会社への返済が必要です。返済できない場合は保険契約が失効し、保障が受けられなくなります。
住宅ローン
住宅ローンの返済
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、住宅ローンの返済が難しくなった場合、まず返済中の金融機関に相談してください。毎月の返済額や返済額、ボーナス払いなどについての変更ができる場合があります。
フラット35の場合は返済方法の変更メニューが用意されています。
返済期間が延長になるものの毎月の返済額を減らす「返済特例」、一定期間返済額を軽減する方法、ボーナス返済の見直しがあり、複数のメニューを組み合わせることもできます。返済中の金融機関、住宅金融支援機構各支店に相談してください。
参考情報
住宅支援機構「新型コロナウイルス感染症の影響により機構の住宅ローンのご返済にお困りの方へのお知らせ」
(https://www.jhf.go.jp/topics/topics_20200323_im.html)
奨学金
奨学金の返済
日本学生支援機構の奨学金については、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、減収や失業などが生じ奨学金の返還が困難になった場合、2つの制度を利用することができます。
「減額返還」は、毎月の返還額を減額して返還するもので、その分返還期間が長くなります。「返還期限猶予」は、返還期限を猶予するもので、猶予期間が過ぎると返還が開始され、それに応じて返還終了年月も延びることになります。
どちらも返済が免除されるものではありません。まず減額して返済が可能かどうかを検討し、返済そのものが難しい場合は返還期限猶予を選ぶのがよいでしょう。
奨学金の申込
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で収入が減少するなどして、家計が急速に悪化した場合、大学等の学費支払いに影響があるでしょう。
家計が急変した場合で、急変後の所得の見込みで要件が満たされる場合には、「給付奨学金」の支援対象となります。家計が急変した理由や収入に関する証明書類を提出する必要がありますが、返済が不要な奨学金ですので、該当する場合は申請するとよいでしょう。
また、給付奨学金の対象とならない場合でも、緊急に奨学金が必要な場合は、貸与型奨学金の「緊急採用・応急採用」の制度があります。大学等に在学中の人が制度の対象です。卒業後に返済が必要なタイプですので、申し込むときには返済額についても必ず確認しましょう。
参考情報
日本学生支援機構「新型コロナウイルス感染症への対応について」
(https://www.jasso.go.jp/news/1327624_1545.html)
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