iDeCo(個人型確定拠出年金)の税制メリットを無駄にせず活用しよう
三鷹のファイナンシャル・プランナー(FP)の伊達です。
資産運用や投資に関するキーワードとして「NISA」や「iDeCo」がよく知られるようになりました。iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者は、2023年3月末時点で289万9618人となり、3年前の2020年3月末時点の156万2814人と比べると、ほぼ倍の人数になっています。
iDeCo加入者が増えている背景には、将来の年金に対する不安から自分で年金を準備したいというニーズのほか、所得税と住民税が軽減される税制メリットを得られる投資の1つという考え方もあるようです。しかし、実際にiDeCoの税制メリットを有効に活用できているでしょうか?今回はメリットを無駄にしないためのポイントを紹介します。
(注)記事の内容は2023年5月31日時点のものです。
iDeCoの税制メリットは3種類
iDeCoの税制メリットには次の3つがあります。
iDeCoの税制メリット
- 掛金全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となり、所得税と住民税が軽減される。
- 運用益が非課税となる。
- 受け取る時に所得税と住民税の対象となるが、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となる。
所得控除の効果は大きい
iDeCoの税制メリットで注目されているのが、1番目の掛金全額が所得控除になる点です。
例えば、所得税率が10%、住民税率が10%の人の場合、iDeCoの掛金が毎月1万円とすると、次のように税金が年間2.4万円軽減されます。
- 掛金:毎月1万円×12か月=年間12万円
- 所得税の軽減額:12万円×10%=1.2万円
- 住民税の軽減額:12万円×10%=1.2万円
- 軽減額の合計は年間2.4万円
もし30年間加入すると、年間2.4万円×30年で合計72万円の税制メリットが得られます。
掛金を増やした場合や年収が高くて所得税率が高い場合には、軽減額が大きくなります。ただし、実際の軽減額は所得税率や掛金額で異なります。
所得控除の効果は実感しづらい
しかし、所得控除のメリットは実感しづらいかもしれません。
所得税については、年末調整や確定申告をすることで還付されますが、生命保険料控除や医療費控除、住宅ローン控除など、その他の控除と一緒になってしまいます。その結果、iDeCoでの税制メリット単独では分かりづらいのが実情です。
住民税については、翌年の住民税の額が軽減されます。例として住民税が1.2万円軽減されるケースでは、翌年の住民税が月1000円ずつ減ることになりますが、あまりに金額が少なくて実感がわかないかもしれません。住民税が減って手取りが増えるわけですが、iDeCoの税制メリット分を何となく使ってしまうケースも多いようです。
税制メリットを無駄にしないために
iDeCoの所得控除のメリットが大きいことは認識されているものの、実際にはメリットを実感することなく、無駄に使ってしまうケースもあります。せっかく得られたメリットを無駄にしないためには、次のような方法がよいでしょう。
iDeCoの税制メリットの活用
- iDeCoをすることで軽減される税額を計算。所得税率、住民税率を確認して、年間掛金額から計算しましょう。
- 軽減される金額の月額を計算。
- 計算した月額を貯蓄または投資に充てる。
前の例では、毎年の所得税と住民税の軽減額は年間2.4万円で、月額2,000円です。この2,000円を積立定期預金で貯蓄したり、つみたてNISAの積立額に上乗せするなどの方法があります。
将来のために活用するならつみたてNISAなどの投資資金に充て、毎年のイベント費用などに使いたいなら積立定期預金などで貯めておくのが良いかもしれません。
税制メリットが得られると喜ぶだけでなく、そのメリットを形に残すことが大切です。
参考
iDeCo公式サイト
(https://www.ideco-koushiki.jp/)
iDeCo公式サイト 業務状況 加入者等について
(https://www.ideco-koushiki.jp/library/status/)