住宅購入で利用できる主な支援制度(2022年版)
三鷹のファイナンシャル・プランナー(FP)の伊達です。
住宅購入は大きなライフイベントですが、住宅購入にかかる費用は非常に大きいものです。住宅資金は、教育資金・老後資金とならび「人生の三大支出」と言われる金額の大きい支出の1つです。
最近は、三鷹など利便性の良い土地の価格が上昇し、人件費や材料費の高騰により建築価格も上昇しています。三鷹市で、新築の建売戸建であっても5,000万円以下の物件を探すのは難しく、住宅購入のハードルが上がっている印象です。
高騰する住宅購入の費用を抑えるために利用できる制度がいくつかあります。これらの制度は毎年変わりますので定期的な確認が必要ですが、今回は2022年に利用できる主な制度を紹介します。
(注)記事の内容は2022年7月25日時点のものです。
住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)
住宅を購入するときに住宅ローンを借りるケースが多いでしょう。条件を満たす場合に、住宅ローンの借入額に応じて所得税が減税される制度です。控除率は0.7%に下がりましたが、10年間または13年間の合計では大きな金額になります。
住宅ローン減税の内容は2022年から大きく変わりました。以下は、2022年、2023年に入居のケースです(2024年、2025年入居は異なります)。
- 控除される金額:毎年の住宅ローンの残高の0.7%
- 借入限度額・控除期間:住宅の性能等により6通りに細分化
住宅の種類 | 借入限度額 | 控除期間 | |
新築住宅 買取再販 | 長期優良住宅 低炭素住宅 | 5,000万円 | 13年間 |
(同上) | ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 13年間 |
(同上) | 省エネ水準適合住宅 | 4,000万円 | 13年間 |
(同上) | その他の住宅 | 3,000万円 | 13年間 |
既存住宅 | 長期優良住宅 低炭素住宅 ZEH水準省エネ住宅 省エネ水準適合住宅 | 3,000万円 | 10年間 |
(同上) | その他の住宅 | 2,000万円 | 10年間 |
- 床面積:50㎡以上(所得1,000万円以下の人は40㎡~50㎡も可能)
- 既存住宅の築年数条件:昭和57年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)に緩和
既存住宅というのはいわゆる「中古物件」ですが、建築要件が緩和された影響は大きいと考えられます。従来は築20年以内(マンション等の耐火建築物は25年以内)でしたが、2022年で築40年の物件も対象になるケースが出てきます。これまで住宅ローン控除を受けられなかった中古物件を購入対象として考える人が増えるかもしれません。
こどもみらい住宅支援事業
子育て世帯や若者夫婦世帯が、高い省エネ性能をもつ新築住宅や省エネ改修をするときに補助が受けられる制度です。すまい給付金の制度は終了しましたが、それに代わる制度と考えてよいかもしれません。
対象となる世帯
- 2003年4月2日以降に生まれた子どもがいる世帯
- 夫婦のどちらかが1981年4月2日以降に生まれた世帯
補助の金額
- ZEH住宅:100万円
- 高い省エネ性能等を有する住宅(認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、性能向上計画認定住宅):80万円
- 一定の省エネ性能を有する住宅(断熱等性能等級4かつ一次エネルギー消費量等級4):60万円
対象となる期間
- 契約期間 2021年11月26日~遅くとも2023年3月31日
その他、申請には一定の要件があります。
補助金の申請は、あらかじめ事業に登録をした「こどもみらい住宅事業者」が行うので、この補助金を利用したい場合は該当する事業者かを契約前に必ず確認しましょう。
住宅購入資金贈与の非課税制度
住宅購入にあたり父母などから資金援助を受けるケースがあるかもしれません。資金の贈与を受けると贈与税の対象となりますが、この非課税制度を利用すると一定金額まで非課税になります。
非課税制度の概要
贈与の期間:2022年1月1日~2023年12月31日
非課税限度額:省エネ等住宅1,000万円、その他の住宅500万円
非課税制度の適用を受けるには、贈与を受けた人の要件と住宅に関する要件を満たす必要があり、物件については主に次の要件があります。
- 床面積が40㎡~240㎡(かつ半分以上が居住用)であること
- 新築または昭和57年1月1日以後の建築、一定の耐震基準を満たす物件であること
次に、贈与を受ける人について主に次の要件があります。
- 直系尊属(父母・祖父母など)からの贈与であること
- 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下(床面積が50㎡未満の場合は1,000万円以下)であること
- 2009年~2021年までに住宅資金贈与の非課税制度を受けたことがないこと
- 贈与を受けた年の翌年3月31日までに、家屋の新築等に贈与を受けた全額を使うこと
- 贈与を受けた年の翌年3月31日までに、その家屋に居住するまたは居住することが確実であると見込まれること
制度の詳細や増改築(リフォーム)等については参考リンクもご覧下さい。詳しくは、お近くの税務署または税理士にご確認ください。
住宅購入支援策の活用にあたって
住宅ローン控除をはじめとして住宅購入を支援する制度がいくつかあります。近年ではZEH住宅、長期優良住宅、低炭素住宅など、いわゆる「省エネ住宅」への優遇が顕著になっているようです。これらの制度をフル活用したい場合は、省エネ住宅を検討すると良いでしょう。
省エネ住宅は建築費用も高くなりますので、教育資金や老後資金準備など、住宅資金以外とのバランスも考えましょう。住宅ローン控除額などを考慮して資金シミュレーションをすると、より具体的に計画が立てられます。
参考
こどもみらい住宅事業支援事業 一般消費者の方へ
(https://kodomo-mirai.mlit.go.jp/consumer/)
国土交通省 住宅ローン減税
(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html)
国税庁 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし
(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0022005-028.pdf)