年末調整で控除できるものはこんなに多い!忘れずに手続きを

確定申告記入

三鷹のファイナンシャル・プランナー(FP)の伊達です。

会社員・公務員の人は12月になると年末調整の手続きがあります。年末調整とは、1月から12月までの1年間の収入(所得)とその人に適用される控除をもとに所得税の金額を計算し、源泉徴収された金額との差額を精算をするものです。

確定申告が必要な項目はあるものの、大部分は年末調整で手続きできます。面倒な所得税の計算を勤務先がしてくれる便利な制度ですので、できるだけ活用しましょう。

年末調整できる控除の種類を紹介します。

(注)記事の内容は2022年11月29日時点のものです。

関連コラム:年末調整の前におさらい! 年末調整に関係する控除のこと
(https://financial-field.com/tax/entry-89758)

所得税の所得控除は15種類、そのうち年末調整で対応できるのは12種類

所得税の所得控除とは、所得税を計算する際に所得から差し引くことができるものです。所得から引く金額多いほど、結果的に所得税が安くなります。

項目としては次の15種類があり、該当する場合に控除できる金額がそれぞれ決められています。

年末調整で申告できるものは次の12種類です。

  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 障害者控除
  • 寡婦控除
  • ひとり親控除
  • 勤労学生控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 基礎控除

一方、次の3種類は年末調整ではできませんので、これらの所得控除を受けたい場合には年末調整をした後に「確定申告」をしましょう。

  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 寄附金控除

住宅ローン控除は2年目以降なら年末調整で手続きできる

一般に住宅ローン控除と言われる「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除」については、初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で手続きができます。

確定申告をした後、税務署から「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」が送られてきますので、申告する年の分を勤務先に提出しましょう。

年末調整で提出する申告書は多くて6つ

年末調整に関する申告書は6つあります。申告書それぞれについて申告できる控除の内容は次のとおりですので、漏れなく記入しましょう。

申告書控除
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除
給与所得者の基礎控除申告書基礎控除
給与所得者の配偶者控除等申告書配偶者控除、配偶者特別控除
所得金額調整控除申告書所得金額調整控除
給与所得者の保険料控除申告書生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除(申告分)、小規模企業共済等掛金控除(申告分)
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書(特定増改築等)住宅借入金等特別控除

年内に扶養する家族が増えたり、減ったりした場合には、扶養控除等(異動)申告書に変更内容を反映をしましょう。

親の国民健康保険料や子どもの国民年金保険料を代わりに払った場合は、保険料控除申告書の社会保険料控除の欄に記入しましょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)については、保険料控除申告書の小規模企業共済等掛金控除に記入しましょう。ただし、掛金が給与天引きの場合は勤務先で把握しているので記入は不要です。

年末調整で忘れても確定申告で対応はできる

一部の控除を除いて多くは年末調整で対応できますので、できるだけ年末調整で手続きするのが良いでしょう。

配偶者の所得が年末調整の申告書に記載した金額から変わった場合や、保険料控除の申告に漏れがあった場合などでも、最終的には確定申告をすれば対応できます。

年末調整後には源泉徴収票が発行されます。1年間の収入と所得、納めた社会保険料や所得税額が記載されていますので、家計を振り返るきっかけにしてください。

参考

国税庁 No.1100 所得控除のあらまし
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1100.htm)

国税庁 令和4年分 年末調整のしかた
(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2022/01.htm)